最終更新日 2024年8月23日
経理業務は日々のルーティンに組み込まれており、毎日のように時間と人件費と負担が強いられます。
重要なセクションであるにも関わらず、数年~数十年の間ずっと変わらないルーティンで経理業務が行われている会社が非常に多いです。
ここ数年で著しく技術が進歩しています。経理業務に関しても同様に、効率化を目的とした考え方やツール、クラウドサービスまで多く存在します。
これらを利用することで日々の業務時間を短縮し、残業や人件費を減らし、経理の負担を軽減できます。経理業務が迅速に処理されることで会社全体の経営判断から意思決定までが円滑化されて素早く行えるようになります。
毎回、判断が遅れてしまって競合他社に先を越されてしまうような状況も、経理業務を効率化することで改善できるのです。
また、税理士が経理コンサルタントとして受注する際にも知っておいた方が良いでしょう。
会社の税務を把握するために、最高効率の経理業務が確立されていないと経営は良い方向へ向かいづらいです。
経理業務を効率化するメリットと必要とされる背景
既存の人員による収支の安定と改善
経理業務は時間がかかり、決算時期や確定申告の時期には残業が増えてしまいがちです。
時間がかかる=人件費がかかる。
残業が増える=負担が多い、労働環境が悪いと判断されて退職につながってしまう。
これらを改善するために新規採用で増員していては効率が悪いです。というのも日々効率化が進む時代ですので、数年前と同じ業務を同じ人員で処理しているのであれば大きな改善の余地があるということです。
経営コンサルタントであれば経理業務を効率化することで、既存の人材で最大限のパフォーマンスを発揮させて収支を改善しようという結論にたどり着きます。
ワークライフバランスの安定
経理部は比較的ワークライフバランスを取りやすいと言われていますが、繁忙期である決算時期は別です。普段は残業が0時間という経理部でも決算時期だけは30時間を超えるなど明らかに多忙です。
この繁忙期と閑散期の差に耐えられずにワークライフバランスが崩れてしまう事があります。
それもそのはずで、先月は残業が0時間だったのに、今月は残業30時間。これでは確実に私生活にも影響が出ます。
この原因というのが、マンパワーと言われる「人的資源による労働力」で日々の経理を処理している事です。マンパワーに頼り切って経理業務を処理していると、業務の処理速度は変化していないので業務が増えるとそのまま負担が増えて残業につながるのです。
マンパワーではなく、経理業務を効率化するためのスキーム、IT技術による効率化、局所的な外注サービスの利用などで解決することで、ワークライフバランスを保てると考えられます。
経営判断の迅速化
IT技術の進歩によって競合他社の動きが活発になってきています。大手企業や海外企業の参入によって、一気に業界が変動することが多々起こっています。
このような変化の多い時代では迅速な経営判断が求められます。いち早く変化に対応できるように会社が意思決定まで行わなければならない状況で、経理という重要な判断材料が遅れることは危険です。
顧客を取り合う業界で競合他社に先を越されてしまっては、目標とする売上を達成することも難しいでしょう。
迅速な経営判断を下すためにも、経理業務の効率化が必要なのです。
効率化できて恩恵の大きい業務の見つけ方
効率化で優先して狙うべきは、短縮できる時間やコストが大きい業務です。
30時間の業務を3時間にできれば、27時間もの短縮です。
3時間の業務ではどう頑張っても27時間も短縮できません。
経費入力で時間がかかっている企業があれば、請求書の発行で時間がかかっている企業もあります。
まずは実際に経理部の方に聞いてみることから始めましょう。
経理部と話ができたら、業務内容と所要時間を勤務開始~退勤までの時系列で書き出してみましょう。
それらをまとめて、日間・月間・年間でどの業務にどれくらいの時間を割いているのかを把握できれば、効率化できて恩恵の大きい業務が見つけられます。
請求書の封入が3000件あり、月間で15時間(200件/1時間)かかっていたとして、インサーター(封入機)を導入すれば1時間の放置で完了します。
実作業はセットして回収するだけですので、5分程度でしょう。15時間かかっていた請求書の封入業務が5分の実働で完了するので、14時間55分と実に99%以上の短縮です。
インサーターの価格は10万~50万ほどですので、月間15時間短縮できて、時給1151換算で、月間1万7265円の節約になります。1年間で20万7180円ですので、2年間で元が取れて、経理の業務負担も減らせます。
(厚生労働省の「賃金構造基本統計調査(令和2年)」を見ると、経理職にあたる会計事務従事者の平均賃金は時給1,151円で、年収に換算すると354.7万円前後(賞与別)となります。)
経理業務の効率化する方法①
不要な業務の排除
排除(Eliminate):業務をなくすことができないか?
結合(Combine):業務を1つにまとめられないか?
交換(Rearrange):業務の順序や場所などを入れ替えることで、効率が向上しないか?
簡素化(Simplify):業務をより単純にできないか?
ECRS(改善の4原則)はどこの会社や事務所でもこれが一番最初の効率化案となります。特殊なツールや専門的な知識を必要とせず、多くの場合が現場判断で上長承認が得られるものです。
それぞれの業務を見直すことで根幹部分から効率化できることがメリットです。効率化が見えやすく導入費用も掛からない為、税理士事務所でも最初に目を付ける部分となります。
経理業務が年々複雑になりつつある現代において、不要な業務は多々見つかるものです。
表計算ソフトを有効活用する
ほとんどの企業ですでに使用されているかと思いますが、表計算ソフトであるExcelなどを導入していても、最大限活用できていない経理部も多くあります。
表計算ソフトを最大限活用するというのは
・関数を自在に扱えてデータ整理ができる。
・マクロが組めてデータ抽出や整理を自動化できる。
・整理されたデータを基に図表を作成できる。
・経営判断の材料として提出できる。
などを指します。これらを可能にするには表計算ソフトを高度に使用するスキルが必要になってきます。
簿記や給与計算検定などを持っていても、データ整理のスキルがないと効率良く経理業務を行えません。
毎日使用している表計算ソフトを最大限活用することで、経理業務の効率化を図れます。
また、データ整理はあらゆる業務の基礎になる部分でもあるので、経理業務以外でも活躍することができます。
会計ソフトを導入する
会計ソフトを導入することで、帳票の作成時間や請求書の発行コストを簡単に削減できます。
例えば、ラクスグループの「楽楽明細」であれば、請求書発行時間が96%削減!※1請求書発行コストが約60%削減!※2
クラウド型会計ソフトの代表格であり、様々な企業が導入しており実績は6000社を超えるほどです。
※1 月の発行件数が500通で、1通あたりの印刷・押印・封入に1.5分かかった場合の概算。
※2 発行コスト:月の発行件数500件の場合の年間コスト。
人件費3,000円/時、郵送費84円、封筒代15円、紙代3円、印刷代10円、1通あたり2枚封入として試算。
https://biz.moneyforward.com/accounting/?provider=ac_basic&provider_info=cv.568.part.article
IT化を促進する
クラウドツールによるデータ共有や、コミュニケーションツールを導入することで劇的に作業が効率化できます。
Googleドライブにデータをアップロードすれば社内でデータを共有し合うことができるようになり、今までのようにデータファイルをUSBメモリで受け渡したりする手間が省けます。
ワード・エクセル・パワーポイントなどのOffice系ツールもオンラインでリアルタイムに共有できます。同一ファイルを同時並行作業できるので、非常に便利です。
他にもコミュニケーションツールの導入では、社内のやり取りやクライアントとのやり取りを効率化できます。エビデンスを残すという意味でも対面での会話や電話でのやり取りに比べると、時間効率も作業効率も飛躍的に向上します。
これらは無料で展開されているツールですので、導入を検討するにあたって費用という面は気にしなくても良いです。この点、便利なツールを気軽に検討・導入できますが、一度導入してしまうと別のツールに切り替えることは社員のストレスになりますので注意が必要です。
業務を自動化する
経費申請や精算を補助するシステムを導入することで、事前申請から受理の円滑化、ヒューマンエラーを無くして確実に処理、自動仕分けによる効率化などが可能です。
ラクスグループの「楽々精算」では、領収書の読み取り機能(OCR)があります。写真から自動で経費精算まで可能ですので、打ち損じがありません。
自動仕訳では、高速かつ確実に経理処理が可能です。他にも振込データの生成から振り込みサービスとの連携まで完備されており、至れり尽くせりの経費精算システムです。
具体的な効率化の数字などは会社によって変動しますが、導入することで現状よりも効率化できることは間違いないでしょう。
https://www.rakurakuseisan.jp/function/expenses.php
アウトソーシングを利用する
記帳代行・経理代行などのアウトソーシングサービスを利用することで、記帳業務の時間を削減できます。
また、外注作業となるのでチェック体制が非常に厳しく配備されていることからヒューマンエラーが激減します。
こちらはデメリットも存在するので注意が必要です。アウトソーシングのデメリットは、コストと速度と経験です。
外注することでコストが発生します。多くの場合社内で完結する方が安く済みます。
外注することで遅延が発生します。多くの場合社内で完結する方が早く済みます。
外注することで社内のスキルアップにつながりません。
これらのデメリットを天秤にかけ、繁忙期のみアウトソーシングを利用するなどの方法が良いでしょう。
https://www.tokyo-keiri.com/205
フォーマットを統一する
社内で使用しているファイルのフォーマットを統一することで、属人化を防げます。
他の人が作業したファイルを引き継いでもすぐに作業できるようにしておくことが重要です。
多くの経理部ではExcel・Word・PDFなどでやり取りが発生しますが、作業する人や取引先によって異なるフォーマットになっていると非常にわかりづらいです。
チェックする項目がいつもバラバラだと時間がかかってしまうため、早い段階でフォーマットを統一しておくと経理の負担が軽くなります。
デュアルディスプレイを導入する
作業環境の改善です。経理業務ではパソコンのスペックは求められずとも、ディスプレイに表示される情報量は膨大です。
ノートパソコン一つでは表示できる情報量が少なすぎるため、ディスプレイを拡張するなどで業務効率を向上させましょう。
経理業務では複数のファイルを同時に閲覧することが多く、ウィンドウ間のコピペ作業も多発します。いちいちウィンドウを切り替えてチェックしてコピペする作業は効率的とは言えません。
経理部はディスプレイが1枚から2枚に増えるだけで、3倍も4倍も作業効率が向上しますので、是非ディスプレイの拡張を検討してみてください。
インサーターを導入する
請求書の発行を自社で行う場合やDMの封入作業など、ほかにも封入作業がある場合にはインサーター(封入機)の導入がオススメです。
インサーターは経理以外でも封入作業が発生するマーケティング部門などでも重宝します。
例えば、封入封かん機(インサーター)DS-64iであれば、1時間あたり最大2,000通の書類を自動的に折りたたみ、封入できます。
人間であれば1時間で200通(3通/1分概算)ほどの封入速度ですので、およそ10倍の速度で確実に綺麗に封入が可能です。
疲れることもなく、失敗することもなく、最大のメリットは放置していれば完了しているという状態です。
1時間で2000通の封入が可能というのも驚愕のスピードですが、実作業はセットと回収だけですので5分そこそこです。
実質5分で2000通の封入が完了したと考えれば、ものすごいパフォーマンスで経理業務を効率化できていると考えられるでしょう。
請求書の他にも、ダイレクトメールなどを扱うマーケティング部門などでも使用できるメリットがあります。
https://mail.quadient.com/ja/folder-inserters/ds-64i
法人向けクレジットカードを利用する
法人カードを利用することで、明細自体が領収書代わりになります。領収書の貰い忘れがあったとしても、WEBから明細をダウンロードすれば解決できます。
他にも現金払いだと、いつ・どこで・なにに・だれが利用したのか分かりづらいです。その点法人向けクレジットカードを利用していれば、WEB明細ですべて把握が可能です。
また、利用明細と会計ソフトが連動しており、自動で明細が入力されていきます。一つ一つ領収書を確認して手打ちしていくこともないので、打ち損じもなく高速です。
経理業務の効率化に成功した事例を紹介
株式会社soraプロジェクト
「手入力」「手渡し」のアナログ環境から脱却 複数拠点を展開する企業が複数のfreeeの導入で得たメリットとは
https://www.freee.co.jp/cases/sora1/
株式会社AID
請求書発行は「ほっ」とする気持ち。会社設立から会計、販売、人事労務とあらゆるプロセスがストレスフリーで感動!すっかりfreeeの虜に
https://www.freee.co.jp/cases/aid/
経理業務を効率化すれば、時間・人件費・負担が軽減される!
ここまでご紹介したように、システムを導入だと稟議が…。という企業でもディスプレイを増やしたり、フォーマットを統一したりするだけでもかなりの効率化が可能です。
長年の経理フローから脱却し、会社の業績アップを目指しましょう。
もし企業内で判断が難しい時は、経営コンサルタントや業務改善コンサルタントに相談してみましょう。
ご紹介した内容以外にも、会社の状況を加味して最適な業務改善を提案してくれます。