税理士が開業するために必須!税理士試験とは?

最終更新日 2023年10月19日

税理士が開業するために必須!税理士試験とは?

税理士試験とは、税理士になるための国家試験です。

試験は5科目に分かれており、すべてに合格する必要があります。試験は年に2回(7月と12月)行われ、合格率は約3%程度と非常に低くなっています。

税理士とは、税務に関する専門家です。企業や個人の税務申告書の作成や税務相談を行うほか、税務調査の対応を行うこともあります。税理士は、税務に関する幅広い知識と経験が必要とされる職業ですので、試験内容も非常に難易度の高いものとなっています。

勉強時間

税理士試験の勉強時間は、一般的に4,000時間程度といわれています。

4,000時間は5科目(必修2科目・選択必修1科目・選択2科目)全てに合格するトータルの勉強時間です。選択科目をどれにするかによっても勉強時間は大きく変化します。税務に関する予備知識や実務経験の有無によっても異なるため、一概にどのくらいの勉強時間が必要か断言することはできません。

独学でも合格している方は多数いますが、勉学を効率的に進めるにはやはり税理士の試験に特化した講義を受けることが良いでしょう。

税理士資格を1年かけて勉強して、来年の合格を狙えるWEB講義などが期待できます。

税理士試験の受験資格

税理士試験を受験するには受験資格が必要です。
税理士試験の受験資格は、大きく分けて「学識」「資格」「職歴」の3つの分野に分類されます。

学識

学識による受験資格は、大学、短大、高等専門学校の卒業または一定の専修学校の専門課程を修了した者、または大学3年次以上の学生に与えられます。

・大学、短大又は高等専門学校を卒業した者で、社会科学に属する科目(※1)を1科目以上履修した者
・大学3年次以上で、社会科学に属する科目(※1)を1科目以上含む62単位以上を取得した者
・一定の専修学校の専門課程(※2)を修了した者で、社会科学に属する科目(※1)を1科目以上履修した者
・司法試験合格者
・公認会計士試験の短答式試験に合格した者(※3)

資格

資格による受験資格は下記のとおりです。

・日商簿記検定1級合格者(※4)
・全経簿記検定上級合格者(※5)

職歴

職歴による受験資格は、次のとおりです。

・法人又は事業行う個人の会計に関する事務(※1)に2年以上(※2)従事した者
・銀行、信託会社、保険会社等において、資金の貸付け・運用に関する事務に2年以上(※7)従事した者
・税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上(※2)従事した者

税理士試験の受験資格 注釈
※1 「社会科学に属する科目」には、改正前(令和4年度の税理士試験以前)の「法律学に属する科目」に該当していた、法学、法律概論、日本国憲法、民法、刑法、商法、行政法、労働法、国際法等、また、「経済学に属する科目」に該当していた、(マクロ又はミクロ)経済学、経営学、経済原論、経済政策、経済学史、財政学、国際経済論、金融論、貿易論、会計学、簿記学、商品学、農業経済、工業経済等の科目のほか、文系学部・理系学部を問わず、多くの学生に履修の機会があると考えられる、社会学、政治学、行政学、政策学、ビジネス学、コミュニケーション学、教育学、福祉学、心理学、統計学等の科目が該当します。 また、その科目が「専門科目」ではなく、いわゆる「教養科目」や「共通科目」として位置づけられている場合であっても対象となります。⇒詳細はQ&Aを参照してください
※2 一定の専修学校の専門課程とは、1修業年限が2年以上2課程の修了に必要な総授業時間数が1700時間以上であるものをいいます。 ⇒詳細はQ&Aを参照してください
※3 平成18年度以降の合格者に限られます。
※4 日本商工会議所主催簿記検定試験1級合格者
※5 公益社団法人全国経理教育協会主催簿記能力検定試験上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます。)
※6 複式簿記による仕訳、決算、財務諸表作成事務等をいいます。
※7 異なる勤務先等の職歴は、通算して2年以上となれば受験資格があります。
国税庁 税理士試験受験資格の概要 より: https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikaku/shikaku.htm

税理士試験は、難易度の高い試験ですが、学識や資格、職歴などの受験資格を満たしていれば、誰でも挑戦することができます。

また、公認会計士の資格を有していれば税理士登録が認められています。

勉強範囲

税理士試験の勉強範囲は、非常に広く5科目(必修2科目・選択必修1科目・選択2科目)となっています。

以下は科目ごとの平均勉強時間です。個人差はあるものの、それぞれの科目で最低でも300時間以上かかるものから1500時間かかる科目とまであります。

科目種別平均勉強時間
簿記論必修500~800時間
財務諸表論500~600時間
所得税法選択必修1,000~1,500時間
法人税法1,000~1,500時間
相続税法選択900~1,200時間
消費税法600~800時間
酒税法350~500時間
国税徴収法350~500時間
住民税350~500時間
事業税350~500時間
固定資産税350~500時間

合格率と合格人数の推移

令和4年度(2022年度)の税理士試験の受験者数は28,853人(延べ56,503人)、合格者数は5,626人(一部科目合格者数:5,006人)でした。

令和4年度の税理士試験の合格率は19.5%でした。

これは、令和3年度(2021年度)の受験者数27,300人(延べ52,149人)、合格者数5,139人(一部科目合格者数:4,556人)の合格率18.9%と比べて、受験者数は1,554人、合格者数は487人増加しています。

この増加の要因としては、不安定な世相を反映し、専門職の需要が高まっていることが考えられます。また、税理士試験は難関試験ですが、合格することで高い収入を得ることができるため、挑戦する人も増えているのかもしれません。

令和4年度(第72回)税理士試験結果表(試験地別)

(単位:人、%)国税庁:令和4年度(第72回)税理士試験結果より

区分受験申込者数受験者数
(A)
受験率延受験申込者数延受験者数受験率5科目到達者数一部科目合格者数合格者数合計
(B)
合格率
(B/A)
試験地
 (実人員)(実人員)    (実人員)(実人員)(実人員) 
北海道94673377.51,4781,05471.32010912917.6
宮城県1,3201,06280.52,0461,50073.31016217216.2
埼玉県2,7712,16278.04,2873,04571.03634838417.8
東京都15,85312,15876.724,42017,00369.62992,1612,46020.2
石川県75962482.21,14386675.8159511017.6
愛知県3,3112,65380.15,0523,76074.45455060422.8
大阪府6,6975,35980.010,0417,37073.41309401,07020.0
広島県98978579.41,5391,11772.61014115119.2
香川県90571679.11,4071,00871.6811812617.6
福岡県2,0991,63377.83,2422,32471.72524126616.3
熊本県83466479.61,31097274.289710515.8
沖縄県36830482.653841176.45444916.1
合計 (7,761)    (187)(1,504)(1,691) 
36,85228,85378.356,50340,43071.66205,0065,62619.5
3年度合計 (7,205)    (151)(1,339)(1,490) 
35,77427,29976.355,06637,67368.45854,5545,13918.8

(注)合計欄の括弧書は内書で女性数を示す。

令和4年度(第72回)税理士試験結果表(学歴別・年齢別)

(単位:人、%)国税庁:令和4年度(第72回)税理士試験結果より

区分受験者数
(A)
合格者数等合格率
(B/A)
学歴等区分5科目
到達者数
一部科目
合格者数
合格者数合計
(B)
学歴別 (実人員)(実人員)(実人員)(実人員) 
大学卒21,8224933,5614,05418.6
大学在学中1,46343643629.8
短大・旧専卒66016759113.8
専門学校卒2,5915940446317.9
高校・旧中卒19624438943322.1
その他355814114942.0
年齢別41歳以上10,8052749651,23911.5
36~40歳4,40711274385519.4
31~35歳4,5811149011,01522.2
26~30歳4,1318291199324.0
25歳以下4,929381,4861,52430.9
合計28,8536205,0065,62619.5

令和4年度(第72回)税理士試験結果表(科目別)

(単位:人、%)国税庁:令和4年度(第72回)税理士試験結果より

区分受験者数合格者数4年度合格率(参考)
3年度合格率
科目
簿記論12,8882,96523.016.5
財務諸表論10,1181,50214.823.9
所得税法1,29418214.112.6
法人税法3,45442512.312.8
相続税法2,37033614.212.8
消費税法6,48874011.411.9
酒税法4546013.212.6
国税徴収法1,70923513.813.7
住民税4768217.212.7
事業税2693814.112.6
固定資産税91016718.413.8
合計
(延人員)
40,4306,73216.716.5

受験期間

税理士試験は毎年「火・水・木」に開催されます。直近の開催日から予測すると
令和6年度(第74回)税理士試験は8月6日(火)から8日(木)に開催される可能性が高いでしょう。

過去の開催日程は下記
令和5年度(第73回)税理士試験は8月8日(火)から10日(木)
令和4年度(第72回)税理士試験は8月2日(火)から4日(木)

試験日時間科目
2024年8月6日(火)(過去開催日程からの予測)午前9時~午前11時簿記論
午後0時30分~午後2時30分財務諸表論
午後3時30分~午後5時30分消費税法又は酒税法
2024年8月7日(水)(過去開催日程からの予測)午前9時~午前11時法人税法
正午~午後2時相続税法
午後3時~午後5時所得税法
2024年8月8日(木)(過去開催日程からの予測)午前9時~午前11時国税徴収法
正午~午後2時固定資産税
午後3時~午後5時住民税又は事業税

受験申請受付期間

2023年度税理士試験の受験申請受付期間は、2023年5月9日(火)から2023年5月19日(金)まで

この期間を逃すと1年間は受験することができないので、受験申請は早めに済ませておくと安心です。

まとめ

税理士試験は、4000時間もの勉強時間が必要といわれる非常に難易度の高い試験ですが、合格することで、税務に関する専門家として活躍することができます。税理士試験に合格を目指す方は、早めに勉強を始め、計画的に勉強することが大切です。

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