最終更新日 2023年10月19日
税理士資格を取得した後、いくつかの会計事務所や企業で働き、十分な経験と知識を積んだ後に独立することが一般的です。
税理士が開業できる条件として「2年以上の実務経験」を有する必要があります。そのため、税理士試験に合格しただけでは独立開業は不可能なのです。
2年以上の実務経験を積んで正規の手順を踏めば開業することが可能になりますが、あくまで、開業できる資格があるというだけです。
独立して成功するためには税理士以外の知識や経験が必要になってきます。事務所経営の知識、採用や教育、集客マーケティングやWEB運用など、これらは資格取得後10年以上を要することが多いです。
税理士資格取得後にすぐ開業しても事務所経営がままならず廃業してしまうケースも多いです。このことから20代の開業税理士は全体の0.6%と非常に少ないのです。
では、税理士が開業する年齢で最適となるのは何歳なのか。
これについて解説していきます。
税理士が開業する最適な年齢は?
税理士として開業準備が整うのは早くても税理士試験合格から10年後の30代半ば~40代前半となります。
税理士が開業するにあたって一番の不安は、廃業のリスクでしょう。せっかく開業しても廃業してしまっては大きな損失です。もちろん廃業で得られる経験もありますが、可能であれば右肩上がりの経営で事務所を継続させて成功したいものです。
一般的には税理士として働いた期間が長ければ長いほど廃業のリスクは低くなります。
所属税理士として働くということは、事務所で税理士業務に加えて事務所がどのようなマーケティングを行っているのか、WEBサイトはどのようなものなのか、人材育成や採用はどのように行っているのか、それぞれにどれくらいの予算を設けているのかなどを、間近で学べるという最大のメリットがあります。
模範的な税理士事務所に従事することができれば、効率よく開業後の未来を見ることができるでしょう。
反対に、税理士としての経験が少ない状態で、資格取得後の20代前半ですぐ税理士として開業すると、経営の知識がなく廃業する危険性が高いです。
税理士としてある程度の経験を積んで、事務所経営のノウハウを得た状態で開業するのが理想といえます。
40歳以降でも開業は可能ですが、開業時の新規営業などは肉体的に厳しいかもしれません。また、廃業したときの精神的ダメージも若い方が小さいと言えます。
ほかにも30代で開業後に廃業しても若さ故に選択肢は多くありますが、50代で開業後に廃業となると再就職が難しいなどのリスクがあります。
よって、税理士が開業する最適な年齢は、30代半ば~40代前半となるでしょう。
開業税理士に若手が少ない理由
先述の通り、税理士として開業に最適な年齢が30代半ば~40代前半ですので、20代の開業税理士は全体の0.6%と非常に少ないです。
20代と比較すると30代は10.3%と約17倍に増え、そこから60代まで増え続けます。
20代と比較すると60代は30.1%と約50倍にもなります。
開業税理士の平均年齢 | |
年代 | パーセント |
20代の税理士 | 0.6% |
30代の税理士 | 10.3% |
40代の税理士 | 17.1% |
50代の税理士 | 17.8% |
60代の税理士 | 30.1% |
70代の税理士 | 13.3% |
80代の税理士 | 10.4% |
引用:日本税理士会連合会(平成26年1月1日現在 32,747人対象)、アックスコンサルティングが発行する税理士白書より
上記の表のとおり、若手の開業税理士は非常に少ないです。
・若年の開業は廃業リスクが高い
・税理士として開業する最適な年齢が高い
・定年がないので60歳以降も働き続けることができる
これらが、開業税理士に若手が少ない理由です。
開業に必要な条件と最短で満たす年齢
開業に必要な条件と、最短で条件を満たす年齢をまとめました。
必要項目 | 必要期間・資金 | 最短で条件を満たす年齢 |
税理士試験合格 | 4000時間 | 20歳 |
税理士としての実務経験 | 2年間 | 22歳 |
税理士登録 | 3か月 | 22歳3か月 |
開業資金 | 200万 | 22歳3か月 |
開業準備 | 3か月 | 22歳6か月 |
税理士試験に合格4000時間必要といわれています。ここがすでに難関で20歳未満での税理士試験突破者はいません。
税理士の最年少合格者は、今現在では氏名が公表されているのは20歳の方となっています。 徳島県吉野川市出身の専門学校生の鎌谷さんという女性の方が2011年度の税理士試験に合格し、最年少記録を更新したとのことです。(日本の資格ガイド)
また、理論上可能な最年少税理士登録年齢は18歳となります。(https://shouhizei-quiz.com/?p=5856)
税理士試験合格は20歳が最年少ですので、そこから2年の実務経験、更に税理士登録と開業準備を同時並行で3か月、資金は事前に準備しておいたものとして
税理士として最短で「22歳と6か月」くらいで開業することも可能です。
かなりタイトなスケジュールになりますが、中学生のころからマーケティングやWEBの知識を培い、高校生になってからは税理士事務所でアルバイトとして事務所経営を見つつ経営学を学び、大学生になってから200万の資金を集めつつ4000時間の税理士試験を突破、22歳で税理士登録から開業まで実現可能です。
まとめ
税理士が開業する時の最適な年齢は30代半ば~40代前半です。その理由は税理士事務所での経験を積んだ方が廃業のリスクが少ないからです。
税理士として最短で開業するとなると22歳6か月くらいで開業することが可能です。しかしながら、開業が早ければ良いというものでもありません。
廃業リスクを少なくするためには、税理士事務所での経験が必要で、税理士業務のみではなく、集客やマーケティング、人材採用や育成、その他経営に関する多くを学ぶ必要があります。逆を言えば、これらの税理士事務所運営に関する知識や技術がないまま開業しても廃業してしまう可能性が高いと言えます。
自らの手で税理士事務所を経営するというビジョンを明確にしてから、学ぶべきことを学んでから開業することが重要です。そのためには模範となるような税理士事務所に所属して、事務所経営を間近で見て学ぶことが最も効率が良いでしょう。
まずは事務所経営を学ぶ時間を確保して、税理士業務に従事してみましょう。焦って無理に開業するよりも、ある程度の経験を積んで成功する可能性を高めてから開業することをお勧めします。
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