税理士が開業する時に必要な資金はいくら?

最終更新日 2023年10月19日

税理士が開業するときに必要な資金はいくら?

税理士が開業する際に必要な資金は、開業する税理士事務所の規模、場所などによって異なります。

一般的には税理士が開業する時に必要な資金は100万円~300万円程度が必要と言われています。

税理士の開業資金の内訳としては、以下のような項目が挙げられます。

  • 税理士登録費用(11万)
  • 税理士会入会金(14万)
  • 事務所の賃料(5万)
  • 事務所の内装・設備費(10万)
  • 備品・消耗品費(6.5万)
  • 広告宣伝費(4.3万)
  • 運転資金(19万)

レンタルオフィスで最低限の設備投資のみに絞れば、税理士事務所として開業に必要な出費は70万円ほどになります。

税理士登録費用

・登録免許税60,000円
・手数料50,000円

税理士会入会金

入会金40,000円
会館建設費20,000円
年会費81,000円

所属する税理士会によって金額が多少異なります。

税理士事務所の賃料

税理士事務所の賃料

税理士事務所の賃料は開業する場所によって大きく異なります。都心部や繁華街に事務所を構える場合は、賃料が高額になります。

「税理士事務所を開業したい」という条件であれば契約の初期費用と次月分の賃料の支払いで金額を算出することになります。設備費用や運転資金などはここには含まれません。

税理士事務所の賃料目安は以下です。
初期費用の合計は賃料に大きく左右されますので、注意が必要です。

 アパートやマンション賃貸事務所レンタルオフィス
初期費用の合計150,000円~350,000円~50,000円~

マンションは事務所利用不可の場合も

マンションやアパートを事務所とするのであれば、事務所利用が可能かどうかを調べてから契約する必要があります。

騒音問題:事務所では、電話や会話、作業音などの騒音が発生する可能性があります。これは、他の居住者に迷惑をかける可能性があります。
セキュリティ問題:事務所では、夜遅くまで人が出入りしたり、貴重品を保管したりする可能性があります。これは、セキュリティ上の懸念があります。
設備の問題:事務所には、会議室や応接室、複合機などの設備が必要な場合があります。これらの設備が整っていないマンションでは、事務所として利用することが難しい場合があります。
法律の問題:マンションによっては、管理規約で事務所利用を禁止している場合があります。

このような理由から、マンションでは事務所利用不可としている物件が多いです。事務所として利用したい場合は、事前に管理組合に確認することをおすすめします。

レンタルオフィスと賃貸事務所の違い

レンタルオフィスの最大のメリットは圧倒的な安さ

レンタルオフィスの最大のメリット、税理士の開業で初期費用を抑えられる

レンタルオフィスでは圧倒的な安さが特徴です。ほとんどの項目に対して料金がかからないので、税理士が開業する時の初期費用が抑えられるということが最大の利点です。

項目賃貸事務所レンタルオフィス
保証金・敷金賃料の3~12ヵ月分賃料の1~2ヵ月分
礼金なし~2ヵ月分不要
前家賃賃料の1~1.5ヵ月分不要
前共益費共益費の1~1.5ヵ月分不要
仲介手数料賃料の1ヵ月分不要
火災保険料1万~2万円不要
保証会社利用料賃料の50%~不要
その他1~3万円(鍵交換など)不要

全国的に見ても、レンタルオフィスでは圧倒的な安さが特徴です。

場所月額賃料目安レンタルオフィス紹介リンク
東京|新宿28,000円西新宿ライズオフィス
東京|千代田38,500円アントレオフィスIFS四ツ谷六番町
大阪|中央区19,800円~BIZcircle 阿倍野
北海道|札幌18,000円~個室レンタルオフィス ラティール資生館
九州|福岡20,000円~Fukuoka Growth Next 天神

開業の初期費用を抑えるためにと割り切って、レンタルオフィスを借りることもありです。
面談はプライバシーが保護された外部の個室を借りれば解決できます。

賃貸事務所の最大のメリットは信用を得やすいこと

賃貸事務所の最大のメリット、お客さまからの信用を得やすい

賃貸事務所はレイアウトなどを自由に変更できます。これが開業する税理士にとって一番のメリットだと考えられます。税理士業務に必要な設備を追加したり、効率的なレイアウトやリラックススペースなどを作ることで、仕事のパフォーマンスを自由に調整できます。観葉植物などを置いて美しいオフィスレイアウトで印象付けるなどの方法も可能で、お客様への印象も良くなります。

また、レンタルオフィスに比べて有効面積が広いことから来客対応時の印象が良いです。レンタルオフィスでは有効面積の都合で来客対応が難しいことがあります。せっかくお越しになったお客様でも、オフィスの印象次第で気持ちが大きく左右されます。

お客様視点だと、賃貸事務所は信用や印象にかかわる部分でメリットがあるといえます。

自宅開業という選択肢もある

税理士として自宅で開業することも可能です。自宅開業は初期費用やランニングコストを抑えることができ、通勤時間も短縮できるため、メリットも多いです。

メリット
・初期費用やランニングコストが安い
・通勤時間が短縮できる
・プライベートと仕事の両立がしやすい
・自由度が高い

しかし、自宅と事務所の区別がつけづらく、集中力が途切れやすい、プライバシーが守りづらいなどのデメリットもあります。

デメリット
・自宅と事務所の区別がつけづらい
・集中力が途切れやすい
・プライバシーが守りづらい
・周囲に迷惑をかける可能性がある

税理士として自宅で開業するかどうかは、メリットとデメリットをよく検討したうえで決めることが大切です。

税理士事務所の内装・設備費

税理士事務所の内装・設備費

事務所の広さや設備の種類によって異なります。税理士事務所を開業する際には、家具・什器の購入費用も忘れずに計上しておきましょう。

最低限の設備で済ませれば、数十万円で済みますが、高級なオフィス家具を揃えたり、最新の設備を導入したりする場合は、数百万円かかることもあります。

家具・什器の購入費用を抑えるためには、中古家具を利用する、ネット通販で購入する、DIYで家具を作るなどの方法があります。

また、事務所の規模に合った家具を選ぶことも重要です。大きすぎる家具や使い勝手の悪い家具を購入すると、逆に費用がかさんでしまう可能性があります。

家具・什器費用(目安)
デスク10,000円~50,000円
椅子5,000円~30,000円
書庫10,000円~50,000円
ロッカー10,000円~30,000円
会議テーブル10,000円~50,000円
会議椅子5,000円~30,000円
応接セット20,000円~100,000円
ロビーチェア10,000円~50,000円
電話台5,000円~30,000円
プリンター台5,000円~30,000円
掃除機5,000円~30,000円
掃除用具10,000円~50,000円
合計105,000円~530,000円

これらの費用はあくまでも参考であり、実際の費用は税理士事務所の規模や内装によって異なります。

パソコン・備品・消耗品費

税理士事務所の備品・消耗品

パソコンやプリンター、書類などの消耗品費です。数万円~10万円程度で済みます。

項目費用(税抜)
パソコン30,000円~200,000円
プリンター5,000円~100,000円
ソフトウェア10,000円~200,000円
書類10,000円~20,000円
その他消耗品10,000円~20,000円
合計65,000円~540,000円

例えば、士業事務所で使用するパソコンのスペック目安は以下のようなものになります。

CPU:Intel Core i5以上
メモリ:8GB以上
ストレージ:SSD 256GB以上
画面サイズ:15.6インチ以上
OS:Windows 10または11
その他:Webカメラ、Bluetooth、Wi-Fi
これらのスペックがあれば、WordやExcelなどのOfficeソフト、インターネット閲覧、メール、書類作成などの業務に問題なく使用できます。
また、外出先で作業することが多い場合は、バッテリー駆動時間の長いノートパソコンがおすすめです。
近年では事務向けノートパソコンの価格は値段は3万円前後と非常に安いですが、十分に動作します。

なお、税理士事務所では、専門的なソフトを使用することが多いので、そのソフトの動作環境も確認しておきましょう。

士業事務所でパソコンを使用する際には、セキュリティ対策も重要です。ウイルス対策ソフトを導入し、定期的にアップデートを行うようにしましょう。また、外部からインターネットに接続する際には、VPNを使用して通信を暗号化することもおすすめです。

パソコンは、士業事務所の業務に欠かせないツールです。スペックやセキュリティ対策に気を配って、事務所に合ったパソコンを選びましょう。

広告宣伝費

広告宣伝費

税理士事務所を開業する際に必要な広告宣伝費です。

広告宣伝費をかけることで、税理士事務所の商品やサービスを多くの人に認知させることができ、集客の促進や競合への優位性をアピールすることができます。

広告宣伝費をかけずに事業を運営することは可能ですが、その成功確率は低くなります。

税理士事務所が広告宣伝費をかけずに事業を運営する場合には、他の方法で認知度を高め、集客を促進する必要があります。たとえば、口コミを活用したり、イベントやセミナーを開催したりするなどの方法がありますが、開業したばかりの税理士事務所がイベントやセミナーを開催することのハードルはかなり高いので、お勧めできません。

税理士事務所が開業した時に必要な広告宣伝費は、一般的には数十万円から数百万円程度かかると考えておくと良いでしょう。

税理士事務所を開業してから間もない広告宣伝費と、開業してから10年の広告宣伝費では用途も金額も変わってきますので注意が必要です。正しい広告宣伝費の使い方を知っておくことが重要です。

広告宣伝費を抑えるためには、インターネット広告や折り込みチラシなどの費用対効果の高い広告方法を選ぶことが大切です。また、自社で広告宣伝を行うのではなく、広告代理店に依頼することも一つの方法です。

以下は、税理士事務所でよく使われる広告宣伝方法と費用例です。

広告宣伝方法費用(目安)
インターネット広告10,000円~100,000円/月
折り込みチラシ10,000円~50,000円/回
新聞広告100,000円~500,000円/回
テレビCM100,000円~1,000,000円/回
ラジオCM10,000円~50,000円/回
看板広告100,000円~500,000円/回
ホームページ作成100,000円~500,000円
口コミ0円
合計43,000円~2,700,000円

運転資金

税理士事務所の開業後2ヶ月分

開業後の1~2ヶ月分の生活費と事業費が必要です。
税理士事務所を開業して開業後2ヶ月分の運転資金の内訳と費用は下記で、100万円~300万円程度必要です。

項目金額(月額)金額(年間)
人件費100,000円~200,000円1,200,000円~2,400,000円
事務所の賃料50,000円~100,000円600,000円~1,200,000円
水道光熱費10,000円~20,000円120,000円~240,000円
通信費5,000円~10,000円60,000円~120,000円
消耗品費5,000円~10,000円60,000円~120,000円
広告宣伝費10,000円~50,000円120,000円~600,000円
その他(交通費、接待費、雑費など)10,000円~20,000円120,000円~240,000円
合計190,000円~410,000円2,280,000円~4,920,000円

自己資金で用意できないときは借入も検討!

税理士で開業するときに、開業資金を自己資金で用意できない場合は、金融機関からの借入や助成金・補助金の活用を検討しましょう。

金融機関からの借入では、信用保証協会などの保証を付けることで、低金利で借り入れることができます。

助成金・補助金は、国や地方自治体から、開業資金や事業の運営費を補助してくれる制度です。士業向けの助成金・補助金も数多くあるので、ぜひ活用しましょう。

よくある質問【税理士が開業する時に必要な資金について】

A.税理士が開業する時に必要な資金は100万円~300万円といわれています。こちらの記事で紹介した通りの最低限の設備投資であれば70万円ほどで開業することも可能です。さらに言えば、事務所を借りずに自宅で開業すれば、ほとんどの初期費用が掛からずに済みますので、30万円程度でも開業することができます。

A.税理士登録費用(11万)、税理士会入会金(4万)、税理士会会館建設費(2万)、税理士会年会費(8.1万)事務所の賃料(最低5万)、事務所の内装・設備費(最低10万)、備品・消耗品費(最低6.5万)、広告宣伝費(最低4.3万)、運転資金(最低19万)です。事務所の規模や立地によって大きく左右されますのでご注意ください。それぞれの詳細な項目は こちらの記事 にて解説しています。

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